高知県佐川町
佐川町立図書館「さくと」読書バリアフリーイベント

佐川町立図書館「さくと」にて、読書バリアフリーに親しむ体験型イベントを企画・実施しました。バリアフリー図書や機器、デジタル資源を活用し、「すべての人にやさしい読書環境」を町の皆さんと共に考える場を作りました。

写真:「読書バリアフリーってなんだろう?」の イベントポスターが会場入り口のイーゼルに貼ってあります

考える

「すべての人にやさしい読書環境」の実現に向けて

佐川町立図書館「さくと」の運営支援やコミュニケーションデザインに、アカデミック・リソース・ガイド株式会社の協業者として継続的に携わっています。

同館には5つのコンセプトがあり、そのひとつに「すべての人にやさしい読書環境が整えられます」があります。館内には大活字本やLLブック、点字つき絵本などを収集したバリアフリーコーナーが設けられています。「さくとを育てる会」のボランティアのみなさんが制作した布絵本の貸し出しも行っています。

写真:バリアフリーの本棚。シリーズの本が面出しで並んでいます。

県のサービスと町をつなぐ

高知県では「高知県読書バリアフリー計画」に基づき、県内の誰もが読書できる環境の整備が進められています。「1.そろえる、2.つなぐ、3.広げる・伝える」の基本方針のもと、オーテピア高知図書館、声と点字の図書館はバリアフリー図書を充実させるとともに、市町村立図書館への貸し出しを支援しています。

佐川町立図書館でも、2025年12月〜2026年3月に声と点字の図書館から借りた読書バリアフリー機器のセットを展示しており、さまざまな世代の利用者が足を止める様子が見られました。

展示で浮かんできた潜在的なニーズを、より効果的に図書館サービスへつなげるために、読書バリアフリーに親しめるイベントを提案しました。

トーク・ツアー・体験で伝える

イベントは、トーク・ツアー・体験の3部構成で実施しました。

トーク「読書バリアフリーってなんだろう?」では、障害の社会モデルの考え方に触れながら、誰もが自分に合った方法で読書を楽しめる環境づくりについてお話しました。

参加者のみなさんには、実際にバリアフリー図書を手に取ったり、DAISY図書のデモを行ったりしながら、「みる・きく・さわる」さまざまな読書方法を体験していただきました。大活字本の読みやすさに驚く声や、「自分は読むより聞くほうが頭に入ってくる」といった気づきもあり、参加者それぞれが自分に合った読書方法を考えるきっかけとなりました。

また、県のサービス利用に際しても、身近な図書館が相談窓口となって連携できることを共有しました。

写真:机の上に置いた本、リーディングルーペ、赤い録音再生機

「さくとのバリアフリーツアー」では、段差のない館内や多目的トイレなどのハード面から、ブックカートやリーディングトラッカーの貸し出しサービス、一般書と児童書を上下に混配した「子どもも大人も自分に合った本を探せる」配架の工夫まで、館内を一周しながら紹介しました。

トーク部分で紹介したバリアフリー図書やサービスのある場所を実際に歩いて案内することで、参加者が図書館を利用するイメージをもてるよう構成しました。

写真:コピー機の横に並んだブックカート

また、館内に展開しているデジタル資源カードでも、読書バリアフリーに役立つ資料を案内しました。

スマートフォンを用いた読書体験では、「青空 in Browsers」で文字サイズや背景色の変更、音声読み上げに挑戦しました。紙の本だけでなく、身近なデバイスからも情報にアクセスできること、図書館がそのサポートをしていることを知っていただく機会になりました。

写真:「やさしい朝日新聞」の画面キャプチャとQRコード入りの紹介カードが机の上に置いてあります
新聞コーナーに置いた「やさしい朝日新聞」のデジタル資源カード

町内の機関連携による広がり

イベントの開催準備は、図書館司書や「さくとを育てる会」のみなさんと連携しながら進めました。町の健康福祉課や社会福祉協議会、ふれあいセンターなどへ声をかけたことで、普段から図書館を利用している方だけでなく、読書から足が遠のいている方やその支援者など、合計26名の方にご参加いただけました。

当日には布絵本を制作する「さくとを育てる会」のみなさんもいらっしゃり、「すべての人にやさしい読書環境」を支える人、つなぐ人、手渡す人の顔が見える場となりました。

写真:机の上に布絵本やその素材を広げるみなさんの手
写真:図書館のコンセプトと、町の人たちが思い思いの過ごし方をしているイラストマップが描かれたエントランスボード

今回のイベントは、館内のオープンスペース「学び合いスタジオ」で実施しました。来館者の動線上にある空間で開催したことで、参加者以外にも自然とイベントの様子が見え、読書バリアフリーが図書館の日常にあるものとして示せました。

イベント終了後には続編を希望する声も寄せられ、継続的な取り組みへの足掛かりとなりました。